東京で代々続く材木店の家に生まれ、
構造設計を学び、いま工務店の現場へ
東京都東村山市・相羽建設で働く樋口美早紀さん。同社初の女性現場監督だ。
都内大学の工学部建築学科を卒業後、同大学院で修士課程を修了して、2016年4月に新卒で相羽建設に入社した。
相羽建設に入社を決めた理由
大学の研究授業でゲスト講師として招かれた相羽社長の話を聞いたのをきっかけに、「この会社で働いてみたい」と大手企業を就職する同期生とは一線を画し、最初から地域工務店の相羽建設に就職を志願した。第一志望は設計職だったが、現場監督をやってみないかと打診をもらったのをきっかけに「とにかくこの会社で働けるのであれば、どんな仕事でも自分にとって絶対プラスになるという直感があった」とその場で「やります」と承諾したという。
監督の仕事は、現場で一つひとつ学んでいく
ご実家は東京で代々続く材木店。いまも美早紀さんの祖父と父が現役で切り盛りする。美早紀さんは3姉妹の次女として、姉妹では唯一家業に近い住宅建築の道を選んだ。 初めての現場監督。「現場監督がどういう仕事なのか。正直具体的なイメージはなかった」という樋口さん。「最初は声も小さくて、職人さんとどういう風に話していいかもわからなかった」というが、持ち前の明るさときめ細やかな性格ですぐに職人さんたちに慕われる存在になった。「わからないことは社内の工事部の方や職人さんに一つ一つ聞いて、ここまでやってきた」と振り返る。
実際に現場監督を務めて1年4ヶ月余り。すでに自社設計物件の監理を5件ほど務める。ある程度仕事のリズムは身についているが、それでも毎回お施主さんの要望・敷地条件・職人さんが違う。一生に一度の家づくり。現場で職人さんに相談はできるが、結局は自分が判断を下していかなければ現場が進まない。特に基礎着工から上棟までは毎日が緊張の連続だという。 今年秋からは初めて、外部の設計事務所の設計物件の現場監督を担当する。「現場監督にとって大きな挑戦であり、成長できる絶好のチャンス。彼女なら必ずやり抜いてくれる」と直属上司の渡邉さん。「完璧ではなくても、任せてみたいと思える仲間が増えた」。部下の成長を見守るのが渡邉さんの楽しみでもある。
現場監督としての経験と遣り甲斐を感じる日々
樋口さんにとっても、実際に現場監督をやってみると、「いろんな人の設計を体感し見比べることができる」と設計という職能を学ぶことができる絶好の立場にいることに気づいた。先日はリフォームの現場では自らおさまりを決めて職人さんに指示を出した。「ただ単に図面をもらうだけでなく、現場監督であっても自分でやれるところもあるのはやり甲斐が大きい」と声を弾ませる。 樋口さんは、毎日通う現場で、施主さんと職人さんが笑顔で話しているのを見るときが嬉しい、と話す。
「せっかく相羽建設で家をつくるんだから、事務的な手続きでなく、心から楽しんで家づくりができる場をつくっていきたい」(樋口さん)。
出典:工務店の風景(発行:新建新聞社|発行年:2017年)
工務店人財プロフィール
名 前 : 樋口美早紀さん
所 属 : 相羽建設株式会社 工事部
出身大学: 東京都市大学(旧武蔵工業大学)工学部建築学科・同大学院 工学科建築学専攻を修了
入社年 : 2016年から相羽建設(株)に入社。
資 格 : 2級建築士
出身地 : 東京都